Jazz life 2014年9月号に掲載されました。 JL音質探検隊(田中伊佐資)コーナー
先日発売のJazz life 2014年9月号 JL音質探検隊(田中伊佐資)コーナーに掲載されました。
とてもうれしいです。(上田)以下は掲載された文章です。
亀吉音楽堂というユーモラスな名前のレコーディングスタジオは東京の大田区、鵜の木という場所にある。
下町情緒あふれる小さな路地の突き当たりに建つ築60年という民家を見て、誰しもまさかこれがスタジオとは思わないだろう。代表でエンジニアでもある上田隆志は電源環境の大事さをよく知っていて、屋内外の配線、分電盤、アースなどを徹底的に強化している。スタジオは当然どんな音楽ジャンルでも請け負っているが、代表はかつてのR&Bやソウルが好きで、ぼくが伺った時にコントロールルームでレイチャールズをかけてもらった。ミッドレンジが濃密な音でやたら心地良かった。
ハイテクビル内のハイテクスタジオの音とは異なっていた。
そういうことなので、亀吉音楽堂レーベルからリリースされ、もちろんここで録られた後藤輝夫&佐津間純の「バットビューティフル」はまさにこのスタジオそのものの音だった。サックスとギターはまるでモノラル録音のようにスピーカー間の中央に重なりあう。
普通なら左右に分けて、それぞれ楽器のディテールを求めるのだろうけど、立体感がある二つの塊が絡み合う。
「だってふたりがひとつの音楽なんだから当たりまえでしょう」と、ベーシストでもある上田が主張しているような気がした。
両楽器ともオープンリールで録音されたオリジナルLP(それもモノラル)のようにぶっとい。そして音に奥行きがある。何はさておき無難を重んじがちなのが日本人エンジニアとレコード会社のディレクターだが、こういう独創的な録音表現が今後どんどん出てきてもいい。
ちなみに本作のハイレゾダウンロード版がすでに発売されていて、去年の日本プロ音楽録音賞の「ベストパフォーマー賞」を受賞したという。
CDフォーマットに収めるために、かなり苦心してマスタリングしたのではないだろうか。
Jazz life 2014年9月号に掲載されました。 JL音質探検隊(文 田中伊佐資)コーナーより

